ピチャン、勝金口、アイディン湖、花火大会

朝の7:30に起きて、ジョーンズカフェにて軽く食事。

敦煌で一緒だった小川さんが一人、少し話をしていると、

中山さんとウマールが僕を呼びに来た。

マイクロバスには、運転手、ウマールに日本人5人。

道はあまりよくない。

ウマールがいい席をとっているので、

すいかを買うのに停車したところで席をかわってもらった。

 火焔山の山並は、何かの神殿のように見えた。スナップに収める。

車は途中何度かエンジン冷却用の水を補給した。

砂沙漠が見えてきた。

途中、ひからびた馬の死骸。おどろきのような声があがる。

 ピチャンの砂山公園は観光地化されているので、こちらの方が面白いと、

ひと気のない場所で降ろされる。

1km程の所には、緑のオアシス。歩いてでも行けそうだ。

ホテルのサンダルで来た僕は、砂山の登るととても熱い。

海岸の砂浜だってビーチサンダルで来るじゃないか。

なんて理屈をこねて1人で砂沙漠を進む。

鳴沙山に比べて、土台はしっかりしていて登りやすいし、

ラクダのふんも落ちていない。

360°砂沙漠という風景に出会いたかったが、それはむずかしそうだった。

確かにこの砂山は敦煌は鳴沙山までつながっているそうなのだが、

僕の装備では干上がってしまうだろう。

火焔山とオアシスが見えるが、一方向には砂が果てしなく続く。

小高い丘に立つよりも、くぼ地から見上げた方が砂山はいい絵になる。

足跡を撮ると、一筋につづくそれは絵だと思った。

 中山さんが一人、遠くから写真に写す。

人がいると、砂のスケールがわかってとてもよい。たくさんいると興醒めだが。

うさぎが走った。すごいスピードだ。

足跡は一直線に続く、追いかけてみたが、続く先は果てしない。

太陽の当たらない斜面の砂は、あまり熱くないが、

直射光の斜面の砂はすさまじく熱い。

 大学5年生で学費はバイトで出しているという彼は、カラテをやっているそうだ。

19才のウマールと彼が力くらべ。

砂に転んだのはウマールではなかった。ウマールはとても力がある。

 マイクロバスに戻って、先程買い込んだすいかを食べた。

ウマールのすいかさばき、ナイフさばきは見事なものだ。

みんなで3個食べた。

 次は勝金口千佛洞に行こうということになった。

ここは帰り道だから悪くはないだろう。

着いた所は川沿いの断崖。洞窟がいくつかあって、その中には壁画があるのだろう。

観光地化は一切されていない。

いくつかの洞窟を覗くが、壁画は一切なし。

壁画があったのは二窟のみ。

一つは天井に唐草模様。もう一つの窟は千佛と唐代の壁画、色はあわく、

白と緑色を織りまぜた美しい色彩のものだ。

だが、菩薩像などではなく、模様にとどまるのみだった。

 千佛はごく近代のもので、その表情はまるでマンがのようで、見るべきところ

ではなかった。

中山さんいわく、この千佛は1月まえに来たときは、千佛は3列確実に

残っていたのに、今は1列の他はどこか破損している。

ウマールの話だと、日本の女子大生は、

わー壁画

とか言って、はがしてもってっちゃったそうだ。それも近代のじゃなくて古い方。

 洞窟の中はとてもすずしい。

ここなら1泊してもいいな。

なんて声に、ウマールは

グイが出るからだめだよ。

と言う。

グイってなあに? さそりのこと?

と聞くと、何にでも変身できるおばけのことらしい。

 昼食をとって一息。中山さんのお話。

アイスの棒の社長の話は笑えた。

その社長はアイスの棒のシェアの8割を握っているそうで、

中山さんが鉄道で同じコンパートメントに乗り合わせたとき、

アイスをバクバク食って、

そんなに食べて、味はどうなんですか

との中山さんの問いに、

味じゃない、棒だよ。棒。

と答えて、珍しいのがあると、とっておくそうだ。

社長の息子は日本語ができるそうで、通訳をするのだが、

とても苦労をしているそうだ。

 近くのお店でミネラルウォーターを買った。3元。

2.5元だよ。というウマールの答えにもう一度トライして、

2つで5元にしてもらおうと思ったが、6元だという。

中国人のおばさんも3元で買っている。

ウマールが見かねてやってきた。

6.7元でぶどうもつけてもらった。

昼食代は7元。羊肉ののった炒麺。

バスは出発。アイディン湖に行こうかという話になった。

アイディン湖は中国一低い所で、海抜は-155m。死海についで、世界に2番目に低い

湖だ。

 アイディン湖への道は非常に悪い。アスファルト舗装の道は穴ボコだらけ。

アイディン湖に水はなかった。ひび割れた湖底が遙か先まで続く。

ずっと向こうには蜃気楼だろうか。水のような陽炎テーブル状の台地。

ひび割れた湖底は含まれる多量の塩分のため、パリパリと音をたてて割れる。

一枚はがすと下はぬかるみ。

1人はまった。

シャッターチャンをのがして残念だなぁとつぶやくと、

もう一回はまってきます。

とポーズをとる。彼もなかなかのナイスガイだ。

 小指大の結晶をみつける。塩辛い。

くせになって、ついついボリボリ白い塩を食べる。

 車が故障しているようだ。

パンクか帰れないよー

とウマールがふざける。とりあえずみんなですいかを食べて時間をつぶす。

出発。

ドロだらけの彼のため、水の出る所に停車。僕は小用を足した。

帰り道ではカレーズをのぞきこんだが、そこでは水が涸れていた。

ウイグル人のお墓などが見える。

ジョーンズカフェに到着。アイディン湖は道が悪かったので50元割り増して

1人200元だった。

野郎4人でジョーンズカフェにてビールを飲んだ。

あ、水を飲んでしまった。

と、それをきっかけに、ビールに対する情熱を語ったり。

 ウマール、中山さん、今日のメンバーと屋台に出かける。

昨日と同じチャーハンとシシカバブ。ウマールのおごりだった。

アイスクリームを食べる。甘くないのがおいしい。

4元だった。ところが本来は2元くらいだったそうな。

今はぶどう祭りで物価が高くなっているようだ。

花火が見られた。腹の調子が悪くてトイレ。

トイレは余りに真っ暗なので外で用を足す。花火が上がると、ぱっと明るくなる。

周りにはけっこう野グソが産んであった。

花火はなかなか珍しいものがあった。

人魂がたくさん天に昇るようなのが面白かった。

花火師の僕としては日本の花火師仲間のためトルファンの花火を写真に

収めることにした。